【レビュー】ライティブ(LIGHTIVE)パイロット|万年筆

2021年12月にパイロットから発売された『LIGHTIVE(ライティブ)』万年筆。定価は 2,000円(+税)。新仕様のインナーキャップでペン先が乾燥しにくく、パイロットの大型コンバーター(CON-70)も使用可能。
思い切り使えるコストパフォーマンスがいい万年筆です。
■ ライティブを分解し調べた詳細な情報
■ カクノ(KAKUNO)との違い
この記事を書いた管理者
これまでに1,000円未満を除いて約100本の万年筆を購入してきました。その知識をもとに記事を記載しています。
ライティブ(LIGHTIVE)
ライティブとは?
デザイン性と機能性を追求した気軽に使える大人の万年筆。
携帯性に優れた軽量ボディ
外に持ち出したくなるような軽やかなボディ。さまざまなシーンで気軽に使えるデザイン。
新仕様のインナーキャップにより、気密性を確保
インキの乾燥を防ぎ、すぐに書き出せる。どんなシーンでもすぐに筆記が可能です。
「ライティブ」とは、「LIGHT(軽い)」と「ACTIVE(活動的)」を組み合わせた造語です。
常に持ち歩いてほしいという願いを込めてつけられました。
公式サイト より引用
ライティブ(LIGHTIVE)の基本情報

商品名 | ライティブ (LIGHTIVE) |
発売日 | 2021年12月8日 |
価格(税抜) | 2,000円 |
インク補充の方式 | カートリッジ/ コンバーター両用式 |
カートリッジの規格 | メーカーオリジナル |
重さ(※ 1) | 12.5g |
キャップの形式 | 嵌合式 |
ペン先 | 特殊合金 |
字幅(太さ) | F(細字)・M(中字) |
付属品(※ 2) | カートリッジインク 1本 |
※ 1: カートリッジ、コンバーターを含まず。カラーにより重さが 0.数g レベルで異なります。計測したカラーはアクティブイエロー。ちなみに 単四乾電池 1本が 約12g です
※ 2: 黒インクが 1本付属。コンバーターは別売り
ライティブのおすすめ理由
抜群のコストパフォーマンス
万年筆としては低価格帯。万年筆初心者の方でも購入しやすい価格で、コストパフォーマンスが抜群
新仕様のインナーキャップ搭載
”万年筆は乾く” という点を心配する人は多いはず。新仕様インナーキャップで ペン先の乾燥という不安から開放(※) される
※ : 乾燥しにくいです。”たま~~~に使いたい” という方でも 1本持っていると重宝します。
ペン先が乾燥した場合、”買い替” もしくは ”洗浄” です。洗浄の場合、クリーニングセットが 800円(+税)と洗浄作業の時間も必要です。ライティブは ”時間” と”お金” 2つの浪費の不安を減らすことができます。

大型コンバーター(CON-70)が使用可
パイロットの大型コンバーター CON-70が使用可能。お気に入りのインクで大量の文字を書くことができる
ライティブの機能的特徴
ライティブの特徴の詳細です。
新仕様インナーキャップ
キャップは嵌合式(かんごうしき)。「パチン」と締めるタイプです。
”新仕様インナーキャップ” で高い気密性を実現し、万年筆の弱点であるペン先の ”乾燥” から守ってくれます。
下の画像はキャップの内側を上から撮影したもの。
画像の一番奥にある白い(半透明)箇所がインナーキャップです。

分解しました
キャップをしめる時、独特の感覚があります(”ヌッ” と入り込む感じ)。
分解したところバネが内蔵されていました。インナーキャップが空気の侵入を防ぎ、ペン先を乾燥から守ってくれます。
どのくらい乾燥しないか実験しました。
実験結果 をご覧ください(このページ内のリンクです)。
下の画像がインナーキャップとバネ。

大型コンバーターCON-70が使用可
コンバーターは付属していないので別で購入する必要がありますが、CON-70 が使える ところが嬉しいです。
パイロットで大きい方のコンバーター。約 1.1ml(※注)のインク吸入が可能。カートリッジ(約 0.9ml)よりも多いです。
下の画像がCON-70。

CON-40 も使えます。インク吸入量は約 0.6ml(※注)(公式では 0.4ml)。
気になるところ
この記事は長いので ”気になるところ” から。個人的には下記が気になります。
> 詳細情報は こちら
(ページ内のリンクです)
※ 1 :「バランス」に記載の通り、クリップが金属パーツのため高重心になります。万年筆は他の筆記具と比較して、寝かせ気味で書くのが通常です。ただ、軽いので ”高重心すぎて使いにくい” というレベルでは ありません
※ 2 :これはしばらく使ってみないとなんとも言えないです。ですが、世界のパイロットです。きっと素晴らしい性能のはずです。
こちらは実験しました(1本 使わずに保管しました)。
→ 1年間は 乾燥(ドライアップ)しませんでした。
厳密には 1ヶ月に1度 1、2ミリ筆記して書けるかチェックしました。
下の画像が 1年間 保管した際のカートリッジ。3分の1 も残っていませんが筆記可能でした。
保管環境にもよるのですが特殊な環境でない限り(日本国内であれば)、そこまで差は出ないのではないでしょうか。

これだけ十分すぎるほど乾燥に強いのであれば、顔料インクも気にせず使えそうです。
ライティブプレスリリースは こちら
※ 3 : 少し ”軽すぎるのでは?” というのが正直な印象です。ですが、商品名が『「LIGHT(軽い)」と「ACTIVE(活動的)」を組み合わせた造語』がコンセプトなので…というところです。CON-70を使ってほど良い重さになる印象です。
※ 4 :プレスリリースにあるのですが ”30~40代をメインターゲット” に少し違和感 を感じます。これは、個人的な思い(理想)になってしまうかもしれませんが、30~40代であればもう少し上のランクの万年筆(筆記具)を使いたい(使って欲しい)と思います。
コクーン(COCOON)が ”20~30代の感性をダイレクトに刺激する” とあったので引っかかるのかも知れません。
スペック詳細
詳細情報です。
サイズ(長さ・太さ)・重さ

中央の値(赤い文字)がライティブの値です。
計測箇所 | サイズ (ライティブ) | サイズ (カクノ) |
全長 | 142mm | 132mm |
キャップをはずした長さ | 128mm | 129mm |
キャップポストした時の 長さ | 162mm | 160mm |
キャップのみの長さ | 58mm | 57mm |
胴軸最大径 | 12.4mm | 12.4mm |
キャップ最大径(※ 1) | 13.5mm | 14.0mm |
※ 1:クリップは除く
計量パーツ | 重量 (ライティブ) | 重量 (カクノ) |
全体(※ 2) | 12.5g | 11.2g |
軸部のみ | 6.8g | 7.5g |
キャップのみ | 5.7g | 3.7g |
※ 2:カートリッジ、コンバーターを含まず。カラーによって 0.数g レベルで差があります。測定したのはアクティブイエロー。ちなみに 単四乾電池 1本が 約12g です
造り(素材・外観の特徴)
ほぼ樹脂製で非常に軽いです。外観の素材として、胴軸、首軸、そして、キャップは樹脂、クリップ部のみ金属です。

両先端にある黒いパーツがアクセントになって引き締まって見えます。


形状
形状はほぼストレートの形状。グリップ形状は カクノとは異なり三角形ではなく通常の形状(丸軸)です。

クリップ
しっかりした造りです。金属製マット仕上げで落ち着きがあります。横方向にグラつくといったこともありません。

カラー展開
下記のカラー展開です。
- アクティブイエロー(メインで掲載の色)
- アクティブネイビー
- アクティブレッド
- マットブラック
- アクティブホワイト
- ノンカラー(クリア)
”マットブラック” のみマットな質感で手触りがしっとりしています。
ペン先
ペン先(ニブ)は特殊合金製。首軸は黒の半透明。字幅は F(細字)、M(中字)の 2種類 です。
上位機種とも同じ、ペン先です。左が プレラ 色彩逢い、右が ライティブ。ニブのサイズ・形状は同じです。

書き味
書き味はパイロットの 安定の書き味 です。
パイロットの万年筆は日本三大メーカーの中で一番インクフローが良いです。クセのない、万人受けする書き味。ライティブは若干硬めの書き味です(カクノ、コクーン、プレラ等 とペン先が同じ)。
F(細字)はカリカリ感はありますが、紙を ”引っかく” 感じはありません。M(中字)はかなりなめらか。下手な金ペンよりなめらかかもしれません。
書き味は”好み”の要素が大きい
書き味に関しては人により感じ方、好みが異なります。とにかくなめらかなものが好きな人、ある程度引っかかりがある人ものが好きな人 と様々です。
個人的に、パイロットは ”サラサラ”、セーラー万年筆は ”サリサリ”、プラチナ万年筆は ”シャリシャリ” というたとえがしっくりきます。
ただ、個人的な感想ということをご承知おきください。
字幅サンプル(字幅の太さ)
字幅のサンプル画像です。

万年筆は個体差、筆圧の違いで字幅が異なりますので参考程度でお願いいたします。
紙はマルマン ニーモシネ方眼(5mm)、ライティブのインクは パイロット ブルーブラック です。比較のためにジェットストリーム、アクロインキ ボールペンも並べました。
バランス
キャップポストするとクリップが金属製のため、ほんの少しだけ高重心になります。


カクノ(KAKUNO)との比較
”サイズ”・”重量”(※)、”形状” は当然ですが異なります。
機能面で大きな違いは下記表の通りです。中央(赤い文字)がライティブのものです。
※ : 具体的なサイズ・重さ等の数値は上で記載の「スペック」参照
ライティブ | カクノ | |
クリップの あり/なし | あり | なし |
キャップの 空気穴 | 空気穴なし (新仕様インナーキャップ) | 空気穴あり |
外観の比較
外観の大きな違いといえばクリップの有無。インナーキャップの仕組みも異なります。

上がカクノ、下がライティブ。クリップはありがたいです。

ペン先はニブは刻印が異なるものの形状は同じ。
左がカクノ、右がライティブです。

ペン芯。
こちらも左がカクノ、右がライティブ。ペン芯も同じもの。

※ : ライティブは赤インクで使用中なので色が付いています
まとめ
ライティブ(万年筆|パイロット)のレビューを行ってきました。
最後に特徴をまとめます。
- コスパが良く、思い切り使える
- ペン先の乾燥の不安から解放してくれる
- 好きなインクでたくさんの文字が筆記できる
- はじめての万年筆にも使いやすい
カクノ も素晴らしい万年筆ですが、デザイン的に ちょっと… というところがあります。ライティブ のデザインであれば大人でも使えると思う方も多いはずです。
嵌合式のキャップなのでネジ式よりも さっと筆記できます。気を使わずに思い切り使う(ガシガシ使う)万年筆にピッタリです。
ライティブ(LIGHTIVE)
- 関連記事
- すべてブログ内のリンクです。
パイロット万年筆の洗浄キットの作り方です。
> パイロット万年筆 洗浄キットの作り方
【もっと気軽に万年筆を楽しみたい】方向けです。
少し価格がアップしますがノック式万年筆 パイロット キャップレス と プラチナ万年筆 キュリダス の比較(レビュー)記事です。
> 徹底比較|キャップレスとキュリダスどっちがおすすめ?
【価格別】おすすめ 万年筆 の記事です。
価格毎に30本以上のおすすめ万年筆を掲載しています。
> 価格別 おすすめ 万年筆一覧