他人の筆記具、どこまで気にしている?

「ボールペンなんて書ければ何でもいい」そう考える人がいる一方で「仕事で使うならある程度きちんとした筆記具を持ったほうがいいのでは?」と考える人もいます。
自分が使う筆記具にはこだわらなくても、他人が使っているペンを見て「ちょっと気になる」と感じる人はいるのでしょうか。
このブログを読んでいる方は、一般の人より筆記具が気になる方が多いと思いますが…。
筆記具について行われた複数の調査を見ると、誰も気にしていないとは言い切れない ことがわかります。
ただし「高級な筆記具を持っていれば好印象」という単純な話でもありません。
この記事では、筆記具に関する調査結果をもとに、他人はどの程度筆記具を気にしているのか、大人や社会人はどんなペンを選べばよいのか を考えてみます。
私の主観と企業が実施している調査結果(ちょっと古いものもありますが…)を織り交ぜています。
他人の筆記具を気にしたことがある人は4割以上

今回のテーマに最も近いのが、2019年にマイナビニュースが実施した「若手社員のメモの取り方」に関する調査です。
40~50代のマイナビニュース会員1,003人を対象に、ペンでメモを取る際の筆記具について気になることがあるか質問したところ、4割以上が「気になったことがある」と回答 しています。
具体的には
- 鉛筆やシャープペンを使っていた
- 消せるボールペンを使っていた
- 安っぽく見えるボールペンを使っていた
- ノートとペンの雰囲気が合っていなかった
- 身の丈に合わない筆記具に違和感を持った
といった意見が紹介されています。
「他人は自分の筆記具なんて見ていない」と思いがちですが、少なくとも仕事の場では、使っている筆記具まで気にする人が一定数いる と考えられそうです。
「4割以上」は40~50代だけの調査
ただし、この「4割以上」という数字を「日本人の4割が他人の筆記具を気にしている」と考えるのは適切ではありません。
この調査には次のような条件があります。
| 項目 | 内容 |
| 調査対象 | マイナビニュース会員 |
| 年代 | 40~50代 |
| 回答数 | 1,003人 |
| 調査時期 | 2019年11月 |
| テーマ | 若手社員のメモの取り方 |
| 掲載記事 | BICジャパン提供のPR記事 |
つまり、日常生活ですれ違った人の筆記具を見るという調査ではなく、40~50代の人が仕事中の若手社員を見る場面に近い調査 です。記事自体もBICジャパン提供のPR記事である点は考慮しておく必要があります。
それでも、「仕事の場で他人の筆記具を気にする人はほとんどいない」とは言えないことを示す興味深い結果です。
若い世代は高級筆記具をどう見ている?

では、筆記具を気にするのは40~50代など、比較的年齢の高い人だけなのでしょうか。
マイナビニュースの調査とは質問内容が異なるため直接比較はできませんが、若い世代を含む別の調査があります。
ニューウェルブランズ・ジャパンが2025年に全国の20~60代の男女1,110人を対象に実施した調査では、高級なボールペンや万年筆について年代別に質問しています。
| 高級筆記具に関する質問 | 20~30代 | 40~60代 |
| 高級なボールペン・万年筆を使う人は素敵だと思う | 52.1% | 47.9% |
| 高級筆記具はギフトに最適だと思う | 45.1% | 35.3% |
| 高級筆記具を使ってみたい | 45.1% | 38.9% |
| 手書きするときは高級なペンで書きたい | 33.6% | 23.4% |
意外なのは、いずれも20~30代の割合が40~60代を上回っていることです。特に「高級なボールペンや万年筆を使う人は素敵だと思う」と答えた20~30代は52.1%で、半数を超えています。
もちろん、この結果から「20~30代のほうが他人の筆記具をよく見ている」とは言えません。
質問しているのは「高級筆記具を使う人をどう感じるか」であり、他人の筆記具を普段からチェックしているかどうかではないからです。
それでも、若い世代だから筆記具に関心がないとは限らない ことはわかります。
なお、この調査を実施したニューウェルブランズ・ジャパンは、高級筆記具ブランドのPARKERやWATERMANを展開する会社です。そのため、メーカーによる調査であることも踏まえて結果を見る必要があります。調査は全国の20~60代の一般男女1,110人を対象に、2025年2月10~12日にインターネットで行われています。
高級な筆記具なら好印象になる?

出典:株式会社ネオマーケティング「文具に関する調査」
若い世代でも高級筆記具を使う人を「素敵」と感じる人がいるなら、高級なペンを持っていれば安心なのでしょうか。
こちらも興味深い調査があります。
ネオマーケティングが2017年に実施した「文具に関する調査」では、文具にこだわりのある20~49歳の正社員女性800人に、高級文具を持っている男性の印象を聞いています。
結果は次のとおりです。
| 高級文具を持つ男性への印象 | 割合 |
| センスがいい | 37.1% |
| 仕事ができそう | 34.6% |
| 近寄りがたい | 25.3% |
「センスがいい」「仕事ができそう」という好意的な印象がある一方、25.3%は「近寄りがたい」と回答しています。
つまり 安い筆記具はダメ → 高級筆記具なら正解 という単純な関係ではなさそうです。
高級な筆記具を持つことがプラスの印象につながる場合もあれば、人によっては少し距離を感じる場合もあります。
なお、この調査の対象は「文具にこだわりのある20~49歳の正社員女性800人」です。女性全体や日本人全体の割合として扱うことはできません。
キャラクター文具も見る人によって印象が変わる

出典:株式会社ネオマーケティング「文具に関する調査」
同じネオマーケティングの調査では、キャラクター系文具を持っている男性についても質問しています。
| キャラクター系文具を持つ男性への印象 | 割合 |
| 親しみやすい | 32.6% |
| センスが悪い | 20.5% |
| 仕事ができなそう | 19.4% |
キャラクター文具だから悪いわけではなく「親しみやすい」というプラスの印象を持つ人もいます。
一方で「センスが悪い」、「仕事ができなそう」と感じる人もいます。
同じ筆記具を見ても、受け取る印象は人によって違います。
だからこそ、誰から見ても100点になる筆記具を探すことには、あまり意味がない のかもしれません。
筆記具そのものにこだわる人も珍しくない

出典:株式会社ネオマーケティング「文具に関する調査」
ネオマーケティングの調査では、本調査に入る前の1,890人に、各文具についてどの程度こだわっているかも質問しています。
筆記用具について「かなりこだわっている」、「こだわっている」と回答した割合は、合計35.8% でした。
およそ3人に1人です。
これは「他人の筆記具を見る割合」ではなく、自分が使う筆記具へのこだわり を調べた数字です。
それでも、筆記具について何らかのこだわりを持つ人が珍しい存在ではないことはわかります。
会社支給から「自分で選ぶ筆記具」へ

以前は仕事で使う筆記具は会社から支給されることも多く「書ければよい」という事務用品としての性格が強いものでした。
しかし、2008年のリーマンショック後、経費削減の観点から文房具の支給を減らす企業が増え、自分で筆記具を購入する会社員が増えたといわれています。
すると「どうせ自分で買うなら、少し高くても使いやすいものや気に入ったものを選びたい」という考え方が広がりました。
こうした個人購入の需要は「オフィスパーソナル」とも呼ばれ、現在の機能性文具やデザイン文具の広がりにつながったとされています。
出典:東洋経済オンライン
実際の筆記具選びでは「書き心地」が重視されている

出典:株式会社クロス・マーケティングが実施した「筆記用具に関する調査(2023年)」
ここまで「他人からどう見えるか」を見てきましたが、筆記具は本来、文字を書くための道具です。
クロス・マーケティングが2023年に全国の20~69歳の男女1,100人を対象に実施した調査では、85.6%が普段手書きをすることがあると回答しています。
手書きをする人942人に使いたい筆記用具を聞いた結果では、ボールペンが89.7%で最も多くなっています。
さらに、筆記用具を選ぶとき・買うときに重視する点では
| 重視する点 | 割合 |
| 書き心地 | 52.2% |
| 手になじむかどうか | 44.8% |
となっています。
つまり、多くの人にとって筆記具選びの中心にあるのは、価格の高さよりも「書きやすいか」、「自分の手に合うか」です。
「書ければいい」という考え方も間違っていない

ここまでの調査を見ると、「他人からどう見えるか」を気にしたほうがよさそうに感じるかもしれません。
しかし、「ペンは書く道具なのだから、書きやすければいい」という考え方も間違いではありません。
実際、筆記具選びでは書き心地や手へのなじみが重視されています。
数百円のボールペンでも、書きやすく使いやすい製品はたくさんあります。
普段、自分だけが使うペンまで「大人なのだから高級なものにしなければ」と考える必要はないでしょう。
問題になるとすれば、筆記具そのものの価格より、使う場面との組み合わせです。
「高級かどうか」よりTPOのほうが大切

たとえば
- 自宅でメモを書く
- 社内で簡単なメモを取る
- 上司との面談
- 取引先との打ち合わせ
- 契約書に署名する
では、同じボールペンでも受ける印象が違ってきます。
自宅でキャラクターのボールペンを使っていても、何の問題もありません。
一方、重要な商談や契約の場で、明らかに使い古された販促用ボールペンを取り出せば、気にする人がいる可能性はあります。
逆に、その場に不釣り合いなほど高価に見える筆記具も、人によっては違和感を持つかもしれません。
マイナビニュースの調査でも、ノートとペンのグレードが合っていないことや、身の丈に合わない筆記具への違和感を挙げる回答が紹介されています。
大切なのは、高級であることではなく、その場で違和感がないこと ではないでしょうか。
大人ならいくらの筆記具を使えばいい?
※ここからの価格帯は調査結果ではなく、一般的な製品価格や筆者の使用経験を踏まえた目安です。

価格帯は筆者の目安
「社会人なら○円以上」という明確な基準はありません。
1本100円台でも、シンプルで状態がよく、きれいに書けるペンはあります。
500円~1,000円程度になると、軸の質感やデザインにも選択肢が増えてきます。
さらに1,000円~数千円程度なら、金属軸など「少しきちんとした印象」のボールペンも選びやすくなります。
ただし
・ 3,000円なら大丈夫
・ 500円なら恥ずかしい
という基準があるわけではありません。
価格よりも
- 書きやすい
- 手になじむ
- インクがかすれない
- 壊れていない
- 清潔に使われている
- 場面に合ったデザイン
といったことのほうが重要でしょう。
他人の筆記具は意外と見られている。でも気にしすぎる必要もない

今回紹介した調査を整理すると、次のようになります。
| 調査から見えること | 結果 |
| 仕事中の他人の筆記具が気になった経験 | 40~50代対象の調査で4割以上 |
| 高級筆記具を使う人を「素敵」と感じる | 20~30代52.1%/40~60代47.9% |
| 高級文具を持つ男性への「センスがいい」印象 | 37.1% |
| 高級文具を持つ男性への「近寄りがたい」印象 | 25.3% |
| 筆記用具へのこだわり | 対象調査で35.8% |
| 筆記具選びで重視すること | 書き心地52.2% |
調査対象や質問内容はそれぞれ違うため、これらの数字を単純に比較したり、「日本人の○%が他人の筆記具を気にしている」と結論づけたりすることはできません。
それでも「他人の筆記具なんて誰も見ていない」とは言い切れなさそうです。
そして、興味深いのは、筆記具への関心が必ずしも年齢の高い人だけのものではないことです。
一方で「大人なら高級筆記具を持たなければならない」という結果でもありません。
高級筆記具には好意的な印象もあれば、逆方向の印象もあります。
実際の筆記具選びでは、書き心地や手へのなじみといった使いやすさも重視されています。
まとめ

筆記具は、基本的には文字を書くための道具です。
だから、まず大切なのは 自分が使いやすく、きちんと書けること です。
ただ、仕事の場では他人が使っている筆記具を見ている人も一定数います。
また、若い世代でも高級なボールペンや万年筆を使う人を好意的に見る人がいることから、「筆記具を気にするのは年配者だけ」とも言えません。
だからといって「高級なペンを買わなければ」と考える必要もありません。
高級かどうかより 書きやすく、状態がよく、その場に合っている。
その程度を意識するだけでも、「大人として使いやすい筆記具」としては十分なのではないでしょうか。
私、個人としては、コロナ以降、在宅勤務となり、人と会う機会がなくなりました。そのため、他の人の筆記具を見る機会も、私の筆記具が見られる機会もなくなりました。
そのため、筆記具は完全な自己満足の世界となっています。
コロナ以前は、さまざまな会社の方と一緒に作業することもありました。多くの方と一緒に仕事をしてきましたが「筆記具にこだわりを持っています!」と公言している人(見てわかる人)には3人しかお会いしたことがありません。少ないものですね…
参考・出典
- マイナビニュース「そのメモの取り方本当に大丈夫? あなたの上司も見てるかも……」
- ニューウェルブランズ・ジャパン合同会社「買い物で『多少高額でも高品質』派は約3人に1人。コスパ・サステナ意識の高まりが『一生もの』志向を後押し」
- 東洋経済オンライン「文房具市場を変えた『オフィスパーソナル』
- 株式会社ネオマーケティング「文具に関する調査」
- 株式会社クロス・マーケティング「筆記用具に関する調査(2023年)」
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